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2026

都立大野球部活動報告ブログ vol.144

東京都立大学硬式野球部 斉藤翔大(人文社会学部人間社会学科1年)です。

まず、日頃より東京都立大学硬式野球部の活動を応援してくださるすべての方々に感謝申し上げます。

【活動報告】

11月3日(火)は都立大グラウンドにて練習を行いました。今週末に控えている入れ替え戦に向けて打撃練習やケースノックを行いました。私事ではありますが、この日19歳の誕生日を迎え、なんだか特別な気持ちで練習に臨みました。

【人生で一番印象に残っている試合】

私が人生で一番印象に残っている試合は、高校2年生の秋季山梨県大会の帝京第三高校戦です。

帝京第三高校は山梨県屈指の強豪校で、毎年のように優勝争いに名を連ねています。今夏は山梨学院を撃破し準優勝、先日行われた秋季関東大会ではベスト4に進出し、春夏通じて初めての甲子園が有力となるなど、全国でも通用する実力のあるチームです。

そんなチームと初戦で対戦することとなり、山梨県の高校野球を知る人なら誰もが帝京第三の勝利を予想するカードであったわけです。しかし、この試合はそんな多くの高校野球ファンの予想をいい意味で裏切る激闘になります。

今回はその試合のターニングポイントとなった場面を振り返るとともに、私がこの試合から学んだ野球観のようなものにも触れられればと思っています。先に断っておきますが、私は野球のことを語りだすと止まらない人間なので、今回のブログは超大作となってしまうことをご了承ください。その分、お読みいただいた方に少しでも得るものがあったと思っていただけるものとしますので、最後までお付き合いいただけると幸いです。

まず、最初のポイントは初回の攻防です。私たち甲府東高校は先攻で、いきなりチャンスを作ります。1番打者のヒットの後、送りバントに相手のエラーが絡むなどして、ノーアウト満塁となりました。しかし、0アウト満塁は点が入らないという野球あるあるが発動し、先制点を挙げることはできませんでした。しかし、私たちの中に「俺たち戦えるかもしれない」という雰囲気が形成されたのもまた事実です。スコアボードに刻まれた「0」以上に私たちは言い表せない何かを得て、1回の守備に向かいました。

そんな思いもつかの間、その裏の守備で相手にも0アウト満塁を作られ、1点を先制されることになります。なぜ相手には野球あるあるが発動しないのでしょうか。そこに強豪校たる所以があるのだと思います。

これは私の持論ですが、格上の相手と対戦する際には、先攻を取る方が良いのではないかと考えています。その理由は、相手よりも先に攻撃をし、先手で策を講じていくことによって、自分たちのペースでゲームを進められる確率が高まると考えているからです。また、相手が格上である以上、同じ1番打者から始まる初回の攻撃において、相手の方が得点する確率が高いのは当然のことでしょう。そうであるならば、先に攻めることで、少しでも試合の中で重要となる先制点を取る確率を上げるべきだというのが私の考えです。この試合では先制することはできませんでしたが、もし後攻だったら、先制されてからの攻撃であったため、チャンスを作ることすらも難しかったかもしれません。格上との対戦の際の先攻の勝率については論文もありますので、興味のある方は是非ご覧ください。(末木新、2018「高校野球における先攻と後攻の勝率差の検討:20年間の夏の甲子園のデータ分析」)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/advpub/0/advpub_17029/_pdf/-char/ja

こういった理由づけをすることによって、公式戦のじゃんけんで全敗し、1試合を除いて全て先攻を取ってきたキャプテンを擁護できていたら嬉しい限りです。(先攻を取るべきだと思っているのは事実ですが。)

その後、2回に同点に追いつき、前半を1対1の同点で折り返します。両チームランナーは出しながらも、あと1本が出ないというような展開でした。すると、6回以降帝京第三の打者陣に変化が起こります。打者全員がバットを指2~3本分短く持って対応してきたのです。私はこういったところにも、強豪校が強豪校たる所以があるのだと感じました。前半思うように点が取れなかったことを振り返り、対応策を講じ、チームとして徹底する。そして、投手に対して打者個人ではなく、“打線”として襲い掛かってくる。何とか6,7回は0点に抑えましたが、今振り返ると知らず知らずのうちに私たちはプレッシャーをかけられ続けていたのかもしれないと思っています。

そんな中、8回、9回と試合が大きく動きます。1対1で迎えた8回表、我らがキャプテンのタイムリーで2点を勝ち越すことに成功します。しかし、ここでまた野球あるあるが発動します。それは膠着状態から点が入ると、ゲームが一気に動き出すというあるあるです。その裏、1点を返され、3対2となりました。

シーソーゲームでどちらに転んでもおかしくない状況の中、この試合最後で最大のターニングポイントとなる9回の攻防を迎えます。9回表、継投に入った帝京第三の2番手投手に甲府東打線が襲い掛かります。四球と送りバントなどで2アウト1,2塁のチャンスを作り、9番打者のタイムリーで1点を追加し、4対2としました。リードした9回表に追加点を挙げた。正直これは勝つ流れだと誰もが思っていたでしょう。しかし、ここで終わらないのが強豪校の底力。9回裏に悲劇が待っていました。

9回表終了後、監督から「守りに入るなよ。最後まで攻めていけ。」と声掛けがありました。言っていることは理解できました。私たちも守りに入ったら負けだと思っていました。しかし、異様な雰囲気に包まれる球場、今までに経験したことのないような試合展開、ジャイアントキリングまであとアウト3つ、グラウンドにいるナインは無意識のうちに守りに入っていました。三振を挟み、3つの四球で1アウト満塁。セカンドランナー生還で同点、ファーストランナー生還でサヨナラ。声掛けが減る甲府東ナイン。迫りくる帝京第三の圧力。ここまで帝京第三打線を2失点に抑えてきたエースが投じた158球目。アウトコース低めの変化球を捉えた打球は無情にも左中間真っ二つ。触塁を確認しつつベースカバーに入る私の思いもむなしく、走者一掃のタイムリーとなりサヨナラのランナーがホームイン。私はその瞬間2塁ベース付近で膝から崩れ落ちました。

かくして、4対5、9回サヨナラ負けとなったわけですが、私はこの試合でプレー以外の部分で後悔していることがあります。それは守備タイムを使うタイミングです。当時は、基本的に私が守備タイムを使うタイミングを決めていました。9回裏のピンチで私は1アウト1,2塁の時点で3回目の守備タイムを使うことを選択しました。正直私の心の中に「やばいかも」という思いがあり、焦ってしまった部分があったのは事実です。2点差の9回1アウト1,2塁であれば、2塁ランナーがホームインしてもまだリードの状況で、1塁ランナーケアで守るのは明らかな場面でした。守り方が明らかな場面で全員集まるタイムを使う必要性は低く、バッテリー間のタイムで十分だったのかなと振り返って後悔が残っています。

そんな後悔が残る守備タイムの使い方をした結果、その後の1アウト満塁の時に守り方を話し合えないまま、サヨナラ負けを喫することとなってしまいました。この1アウト満塁の場面こそ全員で集まって守り方を話し合うべきでした。2点リードの9回裏、1アウト満塁。2塁ランナー生還で同点、1塁ランナー生還でサヨナラの場面。同点阻止のために外野前進守備を敷くか、同点やむなしでサヨナラを許さない守備位置で守るか。私たちは先攻で、エースの球数が150球を超えている、格上相手に9回同点にされ、そこから勝ち切れる確率は低いという視点で考えると同点阻止、同点でタイブレークに持ち込めば10回表の甲府東の攻撃は2番から、帝京第三の攻撃は下位から、1アウト満塁で打席に入った6番打者はその日当たっており、長打も打っているという視点から考えると同点やむなしのサヨナラ阻止。非常に判断が難しい場面でした。結局、私たちはサヨナラ覚悟の外野前進守備を選択しました。結果的に外野オーバーでサヨナラ負けでしたが、この場面でどちらが最適解だったかを今でも私は考え続けています。(有識者の方意見を教えてください。)ただ、野球のセオリーで言えばどちらが定石かは分かりませんが、あの場面で前進守備を選択した外野陣は英断であったと私は思います。このテーマは今後何年経っても同期の中でのトークテーマの1つとなることは間違いないでしょう。


気がついたら3000字以上の超大作となってしまいましたが、最後に私がこれまでの野球人生で長く理想として掲げ、帝京第三との試合で改めて考えさせられた理想の野球についてお話して締めたいと思います。私は格上のチームに勝つために目指すべきスコアは「5対3」であると考えています。完封や1失点は難しくても、何とか3点以内に抑えたい。3点であれば、序盤、中盤、終盤と訪れるであろうピンチ(これはどんな試合でも1試合に3回程度ピンチもチャンスも訪れるという私の野球観によるものです)をそれぞれ最少失点に抑えることができれば十分可能な失点数です。一方自分たちは、チャンスで確実に得点し、あわよくば複数得点を取るイニングを作り、4,5点取る。このような考え方を基に、戦略・戦術を組み合わせていく。これが私の理想の野球のスタイルです。帝京第三との試合では、この理想に近い野球ができたからこそ、接戦を演じることが出来たと考えています。また、今夏甲子園に初出場した市立福山高校の小田浩監督が同じようなことをインタビューで口にされていたのを聞いて、少し嬉しい気持ちになりました。(賛否両論あるとは思いますが)これからも私の理想の野球を追究し続け、さらに深く、よりよいものにしていきたいと考えています。

長くなってしまいましたが、今回のブログは以上としたいと思います。ここまでお付き合いいただいた方々はきっととても深い野球愛をお持ちの方々だと思います。そんな方々に少しでも何か届けられていれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。













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