東京都立大学硬式野球部ブログをご覧の皆さま、こんばんは。
学生コーチを務めています市岡広大(人文科学研究科・博士後期2年)です。
まずは、日頃から都立大硬式野球部をご支援くださいますOB・OGの皆さまや保護者の皆さま、そして弊学や東京新大学野球連盟関係者の方々に、この場をお借りし感謝申し上げます。
今回も引き続き、【活動報告】と【野球人生で一番印象に残っている試合】について筆を執らせていただきました。最後までお読みいただけますと幸いです。
【活動報告】
昨日10/25(日)は、秋季リーグ戦最終戦。日本ウェルネス大学東京と優勝争いを繰り広げる東京学芸大学(学芸大)との一戦でした。
結果から言えば、5-5で迎えた9回裏2死満塁からの四球押し出しによるサヨナラ負けであり、非常に悔しい惜敗となりました。この一戦を勝っていれば3勝7敗で同率の可能性が未だ残る工学院大学との最下位決定プレーオフへの道が残されていましたが、これで都立大は2勝8敗で単独最下位となり、3部との入れ替え戦に臨むことが確定しました。昨日の結果以上に、単独最下位となってしまったことに悔いが残る一戦でした。
一方で、僕個人の実感としては、かつて経験した優勝争いや1部との入れ替え戦にここ数シーズンで最も近いものをこの試合からは感じました。学芸大が実際に優勝争いの真っ只中にいるチームだということもそうですが、1点1勝にかける熱量や、実際の一進一退の試合展開、そこからひしひしと漂う緊張感など、どれもがここまでのリーグ戦期間では味わえなかったものでした。
勝利にこだわる姿勢や打撃力の向上は秋季リーグ開幕以来チームとして取り組んできた課題であったため、勝利こそできなかったものの、この一戦は多くの選手にとって間違いなく自信と手応えになったはずです。再来週に予定されています3部との入れ替え戦にも必ずつながる大きな収穫だったと思います。
しかし、今季の2部優勝1部昇格を本気で目標に掲げてきたチームとしては、第1戦目からこうした戦いをしたかったし、そこで勝ちきれない限り、到底正面から優勝争いには食い込めないなという気持ちも正直なところあります。逆に言えば、こういう試合で勝ち切れるからこそ、学芸大は長年優勝争いに挑めているのだと思います。
その意味では、点差以上に優勝争いをするチームとの要所での地力差を突きつけられた試合でもありました。来季のチーム目標がどうなるかはまだわかりませんが、2部優勝を変わらず掲げるのであれば、昨日のような試合はそこへ向けて必ず越えなければならない障壁としてまた立ちはだかるはずです。その教訓としても、昨日の学芸大戦は選手の記憶に残ったことでしょう。
入れ替え戦を勝ち残った後には、長いようで短い冬季のオフシーズンを迎えます。多くの成果と課題を得た今季の戦いを踏まえて、来季へ向けてどのように歩みを進めていくのか。乞うご期待ください。
【野球人生で一番印象に残っている試合】
さて、ようやく今回のブログの本題に移りますが、僕がこのお題に対して取り上げるのは、2021年の新東京大学野球連盟1部2部入れ替え戦、1部最下位の学芸大と2部優勝の都立大との一戦になります。僕が昨日の学芸大戦にて既視感を抱いた、まさにその1部との入れ替え戦です。昨日の試合展開と似通った部分が何度も出てくるので、両者を比較しながらお読みいただけると面白いかもしれません。
5年前の秋季リーグ戦を東洋学園大学との直接対決を2-1で制して8勝2敗で優勝した都立大は、2週間後の11/13に岩槻川通球場で1部最下位に終わった学芸大との入れ替え戦に臨みました。1部へ行きたいという思いももちろんありましたが、長年の宿願だった学芸大を倒すという思いの方がチームの中で強かったことを覚えています。
いざ始まってみれば試合展開はまさしく一進一退。2-2のまま延長10回のタイブレークに突入しました。この間都立大はもう何度かチャンスを作っていましたが、1死1・3塁で三遊間最深部の打球を併殺にされるなど、学芸大の堅い守備に阻まれ追加点を挙げられずにいました。本当にレベルの高い攻防が繰り広げられていたと思います。
そして、運命の延長を迎えました。先攻の都立大からの攻撃で、走者を1・2塁に置き打席にはその日7番で出場していた同期の角田が入ったことを覚えています。ここで何と、学芸大の投手が四球を出しました。
送りバントが定石という場面で、学生監督をしていた僕もバントのサインを出していたと思いますが、結果としてさらなる大チャンスを迎えたわけです。
しかし、次の助川(当時2年)が初球低めに手を出し、瞬く間に投手ゴロの本塁併殺打となってしまいました。
あの当時、初球からスクイズのサインを思い切って出せなかったこと、そうでなくともウエストサインや適切な声替えを出せなかったことを非常に悔いたものです。打者の助川がバントを得意としていたこともあって当然選択肢にはありましたが、差し当たり様子見をしたいという一心で勇気を持って決断することができませんでした。
これで0死満塁の特大チャンスは、一瞬にして2死2・3塁という無得点の瀬戸際へと様変わりしました。押せ押せムードだった都立大ベンチに悲壮感が漂い始めたことを今でも覚えています。
打席に入ったのはここまで正捕手としてチームを支えてきた同期の須田でした。須田はここで、何の変哲もない平凡なショートゴロを打ちます。その瞬間、試合を観ていた誰もが「終わった…」と思ったことでしょう。
ところが次の瞬間、それまで何度となく好守を見せていた学芸大の遊撃手が捕球後1塁へ大暴投をしました。送球はそのまま一塁側のクッションに当たり、ファールグラウンドを転々とします。その間に2塁走者まで生還し、一挙に2点を取ることに成功しました。過程はどうあれ、当初から取りたいと思っていた点数を取れたわけです。
その後、後続打者が打ち取られ、2点リードした状態で10回裏の学芸大の攻撃へと移ります。マウンドには当然のごとく、エースの内藤(同期)が上がりました。それまで秋季リーグ戦でほぼ全試合に登板し、77回を投げて8勝(最多勝)を挙げた内藤です。疲労も溜まっていたと思いますが、この試合でも2点を取られながら粘投を続けていました。
そこからの展開は本当に激動でした。疲労の蓄積により内藤の制球が乱れる中、先頭を歩かせて満塁を作られた末に学芸大の4番・西脇にレフト前へ同点タイムリーを打たれ、最後には1死満塁から押し出し四球でサヨナラ負けに終わりました。マウンド上で力尽き崩れ落ちる内藤、ホームで立ち尽くす須田、その光景を目の当たりにし項垂れるベンチ。全力を出し切りながらも遂に勝利に届かなかった、その悔しさと寂寥感とがそこには溢れかえっていました。こうして2021年秋の1部昇格を目指す戦いは幕を下ろしたのです。
ただ、試合後の雰囲気はむしろ晴れやかでした。まず、OBの方々が何人も応援に駆けつけてくださり、試合後にはありがたい労いのお言葉をかけていただきました。学芸大に勝つことは先輩方の代からの悲願だったため、同じ思いで試合に臨めたことが大きかったのだと思います。あのときほど、先輩方のご声援のありがたさを身に染みて感じたことはありません。
負けはしたものの、そこに一定の達成感があったことも確かです。2部優勝を果たしたこと、そして1部との入れ替え戦で最後まで接戦を演じきったこと。当時の学芸大が1部でも2勝を挙げていた手強い相手だったこともそれに拍車をかけたと思います。皆が全力を尽くした上に、1部に最も肉薄した瞬間を味わうことができたのです。これほどまでに晴々とした負け試合もそうはないでしょう。
試合終了直後と違い、そこにはさっぱりとした笑顔が溢れかえっていました。僕自身も悔しさ以上に大学野球の楽しさ・面白さ・奥深さに改めて気づかされた試合でした。この試合を【野球人生で一番印象に残っている試合】に選んだのはそのためです。
この先、こうした試合に携われる機会がどれだけあるかわかりません。それでも、2部優勝を味わい、1部との入れ替え戦に身を投じた最後の生き残り(?)として、この経験を今の都立大に還元しない手はないと思っています。それが博士後期課程になってもここに残り続けていた一つの理由でした。
今季は最下位に終わり、ついぞ優勝争いに加わることはできませんでした。しかし来季も2部優勝1部昇格の目標を掲げるならば、そして僕の存在を必要としてくれるならば、これからも僕にできることを全うしていきたいと考えています。幸い今のチームにも1部のようなよりレベルの高い環境で野球をしたいと考えている選手がたくさんいます。彼らの何か手助けになることが僕に課せられた役割であり、僕の存在意義なのでしょう。
選手たちが今季の悔しさを乗り越えて来季へと着実にステップアップしていけることを願うとともに、改めて今の僕にできることと向き合っていこうと思います。
OB・OGの皆さまや保護者の皆さまにおかれましては、今後とも手厚いご支援と温かいご声援のほど、何卒よろしくお願いいたします。



